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みなし残業とは

  • icon2018.01.09
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“みなし残業”という言葉、聞いたことがあるという方がたくさんいらっしゃると思います。
ではこの“みなし残業”とは、一体どんなものかご存知でしょうか?

「みなし残業は、どれだけ残業させても残業代は払わなくていい!」
「みなし残業だから、残業時間を集計しなくても大丈夫!」
こんな風に思っている方が意外と多いんです。

そんな都合のいい話、あるわけがありません。勘違いして“みなし残業”を使っていると、「残業代が未払いになっていた!」なんていうトラブルが発生してしまうこともあります。このようなトラブルを引き起こさないために、“みなし残業”についてわかりやすくご説明したいと思います。

「みなし残業」とは・・・?

よく聞く“みなし残業”ですが、実は2つのパターンがあります。

まずひとつめの“みなし残業”は・・・・・・
実際の労働時間に関わらず、一定の時間働いたものとみなして給与を支払う“みなし労働時間制”というシステムです。この“みなし労働時間制”【事業場外労働】【専門業務型裁量労働制】【企画業務型裁量労働制】の3つにわけられます。どの制度も、「1日1時間働いても9時間働いても、1日は8時間労働!」というように、1日あたりの労働時間を設定することができます。

では、3つの“みなし労働時間制”は何が違うのでしょうか?

答えは対象になる職種や条件です。

事業場外労働

こちらは、「労働時間の管理が難しい職業」例えば直行直帰の営業や外交セールスなどが対象です。条件は、会社側の指示・管理が難しい業務であることなので、会社から随時指示を受けている場合や労働時間を管理できている場合は対象外になります。このシステムを使う場合は、できるだけ労使協定(会社と社員との間の決め事)で労働時間を定めておくことがおすすめです。また定める労働時間が法律で定められた労働時間を超える場合は労働基準監督署への届出が必要になります。

専門業務型裁量労働制

こちらの対象は、デザイナーやエンジニア、建築士など厚生労働省が定めた19の業務に限られます。労使協定を結んで労働基準監督署に届出をすることでこのシステムを利用できます。19業務を労使協定で特定しておけば、対象となる社員の合意がなくても適用することができますが、対象となった社員に対しては業務の手段や時間配分などに具体的な指示ができません。また、対象社員の健康や苦情に対する措置が必要になります。

企画業務型裁量労働制

こちらでは、対象となる社員の合意と委員会を設置してこの制度の採用を決議し労働基準監督署へ届け出る必要がありますが、会社側が具体的な指示をしない企画・立案・調査及び分析の業務であれば労使協定に定めておけば対象にすることができます。このシステムを利用するときは、6か月に1回労働基準監督署へ対象者の労働時間の状況・対象社員の健康や苦情に対する措置について報告する義務が発生します。

もうひとつの“みなし残業”は・・・・・・

あらかじめ一定の時間残業をしたものとみなして給与の中に残業代を組み込んでおく“固定残業”というシステムです。例えば、月給25万円のうち5万円を30時間分の残業代として組み込んでおけば、月30時間までの残業については残業代の支給は不要です。さらに、みなし労働時間制のような職業や業務の制限はないので、すべての社員を対象にできる可能性があり、雇用契約書や就業規則、賃金規定に定めるだけで運用が可能です。

残業代の削減!

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みなし残業のメリットは、もちろん残業代が削減できることです。

みなし労働時間制では、残業時間を削減することで残業代も減らすことができます。
例えば10時間働いたとして、1日の労働時間を8時間と定めていれば、8時間の労働として扱うことができるので、普通に計算すれば発生する2時間の残業が発生しません。また、1日の労働時間を決めてしまうので時間集計も簡単になります。

固定残業を設定する場合は、一定時間までの残業代の支払が不要であることと、給与のうちいくらかを残業代にあてるので時間単価を下げることができます。
例えば、月給25万円で月160時間働かせる場合は1時間当たり約1560円ですが、月給25万円のうち5万円を30時間分の残業代とすれば、1時間当たり1250円でさらに月190時間まで働いてもらうことができます。

未払い・過払いの可能性・・・

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残業代を削減できる可能性もあれば、未払いや過払いが出てしまうこともあるのが“みなし残業”の落とし穴です。

みなし労働時間制で1日の労働時間を8時間と定めた場合、社員が3時間しか働かなくても1日分の給与を支払わなくてはならなくなります。固定残業を使う場合は、実際は10時間しか残業が発生していないのに30時間分の固定残業代を支払っているというようなことになる可能性があります。逆に、固定残業代を支払っている時間を超えて残業をしていれば、その時間に対しては追加で給与を支払う必要が出てきます。

また、みなし労働時間制は休日や深夜の時間帯は対象外、固定残業代を支払う場合も法律で定められた休日や深夜については残業代の割増率が違うので追加で給与の支払いが発生することもあるので、きちんと管理しておかないと知らないうちに未払いが発生していた・・・なんてことにもなりかねません。

ちょっとややこしいお話もしましたが、しっかりと理解して、実際の働き方にあった運用をすれば、適切に残業代を削減することはもちろん可能ですし、気を付けて管理していれば未払いが・・・ということももちろん防ぐことはできますので、「みなし残業を使って残業代を削減したい!」「今すでに使っているけど、未払いが出ていないか不安」などございましたら、弊所までご相談ください。

この記事を書いた人
株式会社ソビア/ソビア社会保険労務士事務所

株式会社ソビア/ソビア社会保険労務士事務所  人事コンサルティングと労務コンサルティングの両軸を強みとした顧問サービスを展開。 「お客様の夢中をうみだす」ことを理念とし、数百社の顧問先とコンサルティング実施の実績を持つ。

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