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ソビアBLOG

安全配慮義務

  • icon2017.12.21
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まず、安全配慮義務とは?

「安全配慮義務」という言葉を最近良く聞くようになったと思いますが、定義するとすれば「従業員が安全・健康に働くことができるように配慮する義務」と言えます。

安全配慮義務の基本的な考え方になる労働基準法、労働安全衛生法は元々「工場法」(明治44年制定)なので、安全配慮というと製造業のイメージが強いかと思います。しかし、平成20年3月から施行された労働契約法に明記されたことをきっかけに製造業以外にも適用される概念として広まりました。

と書きますとややこしい印象に聞こえるかと思いますが、要は「人を雇用する限りは心身ともに健康に働けるようにする義務がある」と認識してもらえればOKです。

そういった考えがベースになるので長時間労働に伴ってメンタル不全になり自殺、といったケースがあるとその義務を損なったといったことで、雇用側が損害賠償されるようなケースが出てきます。これはニュース等でもたびたび目にされているかと思います。

安全配慮義務を怠ると・・・

この安全配慮義務、決して軽んじてはいけません。

以前は、「安全配慮義務」は、勤務中の「事故や怪我」を防止することを中心に考えられておりました。しかし、最近は、自殺や疾病、そして精神疾患も「安全配慮義務」の対象になっており、労災認定がなされるケースが増加してきております。

気を付けないといけないのは、安全配慮をきちんと果たしていないケースにおいて、従業員の心身の健康を害する何かがあった際に、労災の認定が先行して行われる点です。労災の認定が下りた場合は、雇用側の責任が確定することに等しいので、訴訟を起こされた際には多額の賠償金を払う可能性がかなり高くなってしまいます。

例えば、社員が過労のため自殺してしまい、労災認定されたとした場合

その後、遺族から訴訟を起こされ敗訴。(「労災認定」は、裁判の中で、非常に強い証拠として扱われますので、高い確率で、訴えられた側は敗訴となるケースが多数を占めます)そして、賠償金が1億円になったとします。(この金額は、生涯賃金をベースに考えられることが多いようです。)

この1億円は、原則として、訴えられた会社が払わなければいけません。

下手をしたら、そのまま会社が潰れてしまうかもしれません・・・・

どんな時に安全配慮義務違反になるのか?

安全配慮義務違反となるポイントは、大きく2つあります。

  • 1:社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)がある
  • 2:そしてそれを会社として回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)、手段を講じなかった場合

このような時には、安全(健康)配慮義務違反となります。

例えば、最悪シナリオのひとつである「過労やストレス・パワハラなどにより、うつ病となり、自殺してしまう」ケースを考えてみます。

  • 1:正確な残業時間や社員の働き方を直属上司や人事部が把握していれば、予測できないことは少ない
  • 2:「就業制限–休職や残業禁止措置など」や「配置転換」など人事的な措置を講じていれば、自殺には至らなかった可能性がある場合

このような時にも安全(健康)配慮義務違反となり、労災が認定されることになる可能性が非常に高いです。

安全配慮義務を逆手に取って、大成功!?

何度も「安全配慮義務」と書かせていただいておりますが、あくまでこの法律は、「最低基準」を提示しているだけです。
従業員の過労による自殺や疾病、精神病が起きないようにするためには有効かもしれませんが、あくまで予防するためのラインです。

最近では、このような法律を逆手に取り、高い基準でクリアーしている会社も増えてきており、その経営の方法は「健康経営」と呼ばれています。

そのような会社では、「うつ病にならなければいい」という最低ラインを目指すのではなく、むしろ、心身ともに健康であることを目指しています。健康な社員は、いいパフォーマンスを発揮しますので、結果的に会社の業績も伸びている場合がございます。

すでにこの「健康経営」を実践して売り上げを伸ばした成功例はたくさんあります。

  • 株式会社タニタ
  • 花王
  • コニカミノルタ

などは、各方面で取り上げられております。

ちなみに、このような企業は、従業員の健康に対して敏感なだけではなく、高い基準をクリアーした従業員に対して、表彰したり、プレゼントをあげたりと、いろいろと工夫をしているケースもあるようです。

その結果、従業員の定着率も上がり、新しい人材も採用しやすくなっているそうで、その積み重ねの結果、会社の業績が上がる。

まさに、善循環です。

このように、安全配慮義務をきちんと徹底し、高いレベルで実践することが、間接的に企業の業績に響いてくることがあるのです。

まとめ

安全配慮義務について、きちんと対策を講じなければ、計り知れないリスクをとることになります。訴訟になれば、かなりのお金と時間、そして労力を失います。従業員の離職率は上がるでしょうし、新規採用の難易度が高くなる可能性が高いです。
場合によっては、訴訟を引き金に倒産してしまうかもしれません。

逆に、「健康経営」を実践して、社員の心身両面の健康度を改善して、より多くの売り上げを上げることができるようになると、離職率が下がり、より優秀な人材が集まってくるようになり、業績が良くなることは上記のようなネガティブなことを避けること以上の価値があると考えています。

ぜひ、「安全配慮義務」の視点から、きちんとした対策を講じて、「健康経営」を目指していただけたらと思います。

この記事を書いた人
株式会社ソビア/ソビア社会保険労務士事務所

株式会社ソビア/ソビア社会保険労務士事務所  人事コンサルティングと労務コンサルティングの両軸を強みとした顧問サービスを展開。 「お客様の夢中をうみだす」ことを理念とし、数百社の顧問先とコンサルティング実施の実績を持つ。

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